世界は俺中心に廻っている、そんなふうに考えてた時期が俺にもありました。えぇ、そんなことはないんです。世界は金で勝手にクルクルやってるみたいでして、それはもう俺の意思なんて関係なく、日々飽きもせず大回転ですよ。ふとそれに気づき始めたのは高2の夏でして、いくら待っても美少女は降ってこない、どこぞやの組織に拉致されない、授業中にテロリストやってこない、もう俺なんで生きてるんだろう、某涼宮さんじゃないんですけどね、自分の小ささというか現実とかいう糞みたいな物を受け止めざるを得ないなぁなんてそんな悟りを開き始めてた時期だったのですが、俺は勘違いしてたんですね。そういう何かしらのチャンスっていうかオポテュニティ?そういうものがあっちから訪れる訳がないということに気付くんです。ああ、なぜもっと早く気づかなかったんだろう、だけどそれに気づいた俺が歓喜してる暇なんてない。すぐさま行動に移しましたとも。そしたらね、死んじゃいました(笑) 俺、転生。
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『転生!異世界より愛をこめて』
──コメディだと思っていたら、涙が止まらなくなった。そんな異世界転生、あるんです。
弁当箱さんによる本作『転生!異世界より愛をこめて』は、
一見するとポップで軽快なタイトルとビジュアルから、「おちゃらけた異世界コメディかな?」と思うかもしれません。
確かに笑えます。会話劇も小ネタもセンス抜群です。
でも、それだけじゃ終わらない。
読み進めるほどに、いつの間にか心が震え、気づけば涙が頬を伝う――。
そんな“ギャップで刺さる”異世界転生ファンタジー、ここにあります。
物語の概要
主人公の名前は霊界道零矢(れいかいどう・れいや)。
ひょんなことから異世界へと転生(というより転移)してしまった彼は、なぜか記憶も身体もそのままの状態。
あっさりと状況を受け入れたレイヤが最初に手にした能力は――
「こんにゃくを生み出す力」
はい、完全に意味不明です。笑
ですが、読者の心を掴んで離さないのは、この“ズレ感”こそが本作の醍醐味であるから。
そんなレイヤが、美しい銀髪の少女・シャーラと出会い、世界に散らばる“宝具”をめぐる物語へと巻き込まれていきます。
冒険の先に待つのは、笑いか、涙か。それとも――。
注目ポイント①:こんにゃくで始まり、こんにゃくで終わる
本作を語るうえで外せないのが、「こんにゃく」。
物語序盤から登場し、やがてストーリーの節々に登場し続けるこの存在。
深い意味はないようでいて、実は主人公・レイヤの人間らしさや愛おしさを象徴するアイテムとも言えるのです。
ふざけてるようで、どこかあたたかい。
こんにゃくのような柔らかい物語の中に、芯のあるメッセージが隠されています。
注目ポイント②:しゃべる宝具と少年の特別さ
本作に登場する“宝具”とは、いわゆる選ばれし者のみが扱える特別な武具。
レイヤもまた、ひょんなことから宝具を手にするのですが、なんとそれが喋る。
喋る武器というと重厚な展開になりそうですが、本作ではむしろその軽妙な掛け合いが読者の笑いを誘います。
しかし、徐々に明かされる宝具の背景や、レイヤが選ばれた意味――そこには確かな“重み”と“使命”が。
「選ばれること」に何の意味があるのか、物語が進むにつれその答えに近づいていきます。
注目ポイント③:レイヤとシャーラの、言葉にならない絆
「誰だよ、お前泣かしたの……。あ、このセリフカッコイイ」
「…………」
「なに? 惚れた?」
「惚れてません」
「まあ……泣くなよ。お前が泣いたら世界中のナイトが立ち上がって俺の出番がなくなるだろ?」
「……酷いセリフですね」
(第7話より引用:https://ncode.syosetu.com/n9475bv/7/)
このやり取りがすべてを物語っています。
レイヤは一見、適当で軽薄。
でもその一言一言に、相手を想う優しさや、本気にならない“強がり”が込められている。
シャーラは、そんな彼をしっかり見抜いていて、「惚れてません」と断言しながらも、どこか救われている。
恋愛とも友情とも違う、“共に在ること”に意味がある関係性。
その繊細な距離感が、読者の心を優しく締めつけます。
注目ポイント④:レイヤと“あの人”が出会うとき
物語中盤、レイヤの前に現れる“○○”の存在。
この人物との出会いが、コメディ路線を一気に“涙の本筋”へと切り替えます。
ここから先、読み手は思いがけず本気の物語に巻き込まれていくことになります。
レイヤは、なぜ転生したのか。
なぜ“この世界”だったのか。
その意味と対峙する時、レイヤの背負うものが“重さ”に変わり、そして“覚悟”へと変わっていきます。
注目ポイント⑤:「大人になることって、かなしいことなの」
物語のラスト近く。
レイヤが放つ一言が、胸に突き刺さります。
「大人になることって、かなしいことなの」
これは、「年をとることが悲しい」という意味ではありません。
大人の“ふり”をして、本当はやりたくないことを「正しそうだから」選んで、
本当は感じたままに動きたいのに「我慢するのが大人だから」と押し殺してしまう。
そうやって自分の“好き”や“想い”をすり減らしていくことを、彼は“かなしい”と言ったのかもしれません。
この作品が放つ“愛”の形は、ただ誰かを好きになることじゃない。
自分自身を許すこと、選ぶこと、守ること――それもまた、「愛をこめて」ということなのだと感じさせられます。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
『転生!異世界より愛をこめて』は、一見コメディ、でも中身は本気の“泣ける異世界ファンタジー”です。
ふざけたセリフに隠された真意、笑いの中にある本気の優しさ、派手な冒険の裏にある“別れ”と“想い”。
読者を笑わせ、泣かせ、最後にそっと背中を押してくれる。
そんな作品が、今ここにあります。
無料で読める奇跡のような物語、ぜひあなたの目で確かめてください。