5分でわかるキングダム|第12章:什虎攻防戦編(61〜63巻)
鄴を落として中華統一に一歩近づいた秦。だけど、歩みを止める気なんてない。
次に狙ったのは、楚・魏・韓に接する重要拠点「什虎(じゅうこ)」。
ここを取れば、鄴で得た領土をさらに押し広げられる。
でも、それだけに敵も一筋縄ではいかない。
迎え撃つのは、楚の中でも特にクセの強い武将たち。満羽、千斗雲、玄右――正直、誰ひとりまともじゃない。
めちゃくちゃ強くて、しかも何考えてるかわからない。
こいつら相手に戦うのは、飛信隊じゃなくて、玉鳳隊の王賁と楽華隊の蒙恬。つまり今回は、若手エリート二人のガチ当たり回。
王賁は、あの冷静で自信家な性格そのままに、真正面から満羽にぶつかっていく。
満羽ってやつは元々、仲間から裏切られた過去を持ってて、「誰も信じない」って決めてる男。
強さは一級品だし、戦場での存在感も半端ない。でもその分、空虚というか、冷たさを感じる将軍だった。
そんな満羽に対して、王賁は「信じる者のために戦う」ってスタンスを崩さない。
これはもう、剣のぶつかり合いっていうより、生き様のぶつかり合いだった。
王賁の戦いぶりって普段は理詰めでスマートだけど、この時ばかりは泥臭くて熱かった。
覚悟を持って立ち向かい、ついに満羽を討ち取る姿は、王賁が“将軍”としてまた一段階成長した瞬間だったと思う。
一方の蒙恬も、負けてない。
相手は千斗雲。
こいつもまたクセの塊で、豪快でぶっ飛んだ戦い方をするタイプ。
そんな相手に対して、蒙恬は持ち前の知略と柔らかさで翻弄していく。
蒙恬って、感情的にならないし、どこか飄々としてるけど、その裏では常に冷静な分析が走ってる。
だからこそ、軍の流れを読んで有利な形を作り出すのが抜群にうまい。
この戦でも、彼の“天才肌”な部分がしっかり描かれてた。
でもこの章を読んでて一番ゾッとしたのは、「楚って本当にヤバい国だな…」って実感。
満羽も千斗雲も、戦って終わりじゃない。
彼らの背後には、さらに巨大な何かが潜んでる気配がある。
戦いながらも、「これはまだ前哨戦でしかない」って不気味な予感がずっと付きまとう。
満羽たちは楚の中でも“落ちこぼれ”扱いで、本当の怪物たちはまだ控えてるんじゃないかって想像しちゃう。
それだけ、楚の存在感が異質だった。
信が出てこない章なのに、こんなに熱くて濃いのは珍しい。
でも、それだけに王賁と蒙恬の存在感が際立った。
特に王賁の変化が大きい。
かつては父・王翦の影に悩んでいた彼が、自分自身の信念で戦い抜いたこの戦は、彼が“王賁”として一人立ちした瞬間でもあったと思う。
そして蒙恬も、やっぱりただの陽キャじゃない。
ちゃんと“秦六将候補”の器を持ってることが証明された。
戦いそのものは勝利に終わるけど、そこに余韻を残してくるのがキングダムらしいところ。
満羽の言葉が王賁の心に残り、楚という国家の不気味さが読者の脳裏に残る。
何より、「信がいない章なのに面白い」というのが、この作品のキャラ層の厚さを改めて感じさせてくれた。
次回は、あの李牧がついに再登場。
しかも、ただのカムバックじゃない。
秦のど真ん中に向かって牙を剥く「秦国侵攻編」。
いよいよ、第二ラウンドの幕開けだ。