マンガ:5分でわかる「キングダム」

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5分でわかるキングダム|第14章:桓騎最期編(69〜73巻)

いよいよ来た、桓騎 vs 李牧。

鄴を落とし、朱海平原を乗り越え、秦の快進撃を引っ張ってきた桓騎。その戦いが、ついに終わりを迎える時が来る。舞台は趙の朱摩(じゅま)平原。ここはただの戦場じゃない。李牧が長年準備を重ね、“桓騎を討つため”に用意していた完全なる“死地”だった。

桓騎軍は、あの雷土を始め、黒羊戦を共にした曲者たちが勢揃い。ゼノウ一家、厘玉、黒桜、そして摩論…。癖が強いけど、誰もが“桓騎という男のカリスマ”に惹かれて集まってきた連中だ。戦のやり方は無茶苦茶で、非道。けど、彼らは確かに「仲間」だった。だからこそ、李牧の策略で、雷土が捕らえられ処刑された時の衝撃は凄まじかった。桓騎のあの無表情が崩れた一瞬、読んでて手が止まった。

李牧は桓騎の“性格”と“軍の特性”を徹底的に分析していた。正攻法じゃ勝てない相手と認識していたからこそ、何年もかけて“完封”の布石を打っていた。それが包囲殲滅戦。桓騎軍の強さは、暴力と人心掌握術。でも、それを封じられた瞬間、あれだけの軍も、ただの“獲物”になってしまう。

桓騎は最後の最後まで、逃げなかった。いや、逃げようとすれば逃げられた。信と飛信隊が救出に向かう中で、彼は自らの死を受け入れていた。なぜか。それは、雷土を始め仲間を失ったこの戦いが、もう“桓騎の戦”ではなくなっていたからだと思う。

桓騎の過去も、ようやく明かされる。元々は砂鬼一家にいた少年。貧しさと暴力の中で生き、信じるものも守るものもなくなっていた。だからこそ、“奪うことで生きる”桓騎が生まれた。あの冷酷さの裏に、誰よりも深い闇があった。その彼が、最後に残した言葉は「悪くねぇ人生だった」。この一言に、すべてが詰まってたと思う。

李牧はその桓騎を、容赦なく討ち取る。残酷なまでに計算された勝利。けど、完全勝利ではなかった。桓騎の“恐怖”は、死後も趙軍に残り続ける。ゼノウ一家は暴れ狂い、生き残りの部隊はなおも牙を剥く。桓騎軍の“狂気”は、その死をもっても完全に消え去ることはなかった。

信にとってもこの戦は衝撃だった。桓騎の“王道から外れた道”を、ずっと理解できないでいた信が、彼の死を通して初めて“あの戦い方の意味”を知ることになる。正義だけじゃ救えない。理想だけじゃ勝てない。そんな現実を、桓騎は最後の姿で突きつけた。

そして何より、李牧の恐ろしさが読者の中に再認識される章だった。軍略だけでなく、相手の“人生そのもの”を読み切って崩してくるやり方。それはもう“将”というより“監獄の看守”みたいな冷酷さだった。この男がまだ生きていて、しかも次に狙うのが“信”だとしたら――物語の緊張感は一気に振り切れる。

この章でひとつの時代が終わった。戦の天才・桓騎の時代が、静かに、けれど鮮烈に幕を閉じた。そして残された者たち――信、蒙恬、王賁たちは、これから“次の戦い”へと歩を進める。秦の将として、桓騎の死を超えていくために。

5分でわかるキングダム|第15章:宜安攻略編(74〜最新巻途中)

桓騎が死に、秦に残されたのは敗北の記憶と深い喪失感だった。でも、戦は止まらない。むしろ、時間が経つほどに“桓騎を失った代償”が大きくなる。ここで攻めに転じなければ、李牧の勢いに完全に呑まれてしまう――そんな危機感を持って、秦が動く。標的は趙北部の重要拠点・宜安(ぎあん)。ここを落とせば、趙の息の根を止める“扉”が開く。

攻め手は王翦。冷静で盤石な戦いを信条とする彼が、あえて再び“李牧戦”に挑む。それだけに、宜安戦の開幕には相当な緊張感があった。しかも、ただでさえ厳しい北部戦線に、李牧が再び立ちはだかる。朱海平原、桓騎殲滅戦と続けて秦を苦しめた男が、今度は“守る側”に回って、完全に備えてくる。

そしてその裏で、李牧は静かに動いていた。宜安の民を全員避難させ、城そのものを“囮”にした超大規模な罠を用意していた。ここに秦軍が攻め入り、王翦が想定通りの動きをすれば、桓騎以上の“歴史的大敗”を与えることができる。李牧はすでに、戦いの舞台を地図の上で完成させていた。問題は、その罠に秦が気づけるかどうかだった。

この章では、王翦の思考がじわじわと明かされるのが面白い。王翦は常に、“勝てる戦しかやらない”男。つまり、勝てないと判断した瞬間に“撤退する”選択肢もありえる将軍だ。だが、宜安戦ではなぜかその慎重さに“揺らぎ”が生まれ始める。まるで、何かを確かめるかのように、敵の懐へと足を踏み入れていく。それがどこか不穏に感じる。あの王翦にしては、引き際を見誤っているようにも見えてしまう。

一方、飛信隊・信たちは、全体戦略の中の一駒として動きながらも、相変わらず「ただまっすぐに」敵をぶった斬っていく。だけど今回ばかりは、そのまっすぐさが、まるで“虚しい”ように映る瞬間もあった。敵の手のひらの上で踊らされているような感覚。それでも信は、自分の矛を信じて突き進むしかない。

この章で印象的だったのが、秦の“空気感”だ。桓騎がいた頃は、無茶な突破力や圧倒的な破壊力で“勝利”を引き寄せていた。でも今は違う。戦が全体的に重く、どこか抑えられてる。誰もが「負けたくない」と思ってるのに、「勝てる気がしない」。そのジリジリとした圧迫感の正体は、まさに李牧の“戦略”そのものだった。

それでも、秦は攻める。王翦が、信が、蒙恬が前に出る。この戦が勝てば、趙の心臓部が見えてくる。だけど、失敗すれば――それこそ、王翦軍が壊滅し、秦の北進自体が絶望的になる。戦っている側も、読んでる側も、ずっと胃が重いまま進んでいくのがこの章の醍醐味だった。

そしてついに、李牧の“真の狙い”が明かされる。宜安は囮。本命は“番吾(ばんご)”だった。秦軍が宜安に釘付けになっている隙に、趙軍は番吾へ奇襲を仕掛け、包囲網を完成させようとしていた。まさに、王翦を“沈める”ためだけに設計された包囲殲滅の罠。今度は、桓騎ではなく王翦がその中心にいる。

果たして、王翦はこの地獄のような布陣から脱出できるのか? 信は、再び仲間を喪うのか? そして李牧は、三度目の大勝利を掴むのか――?

物語はいま、最大の転機に差し掛かっている。

勝利の栄光を手にするのは、果たしてどちらか。

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この記事を書いた人

「小説家になろう」歴10年、これまでに読破した作品は200タイトル以上。少年漫画から青年漫画、ラブコメ、ギャグまで幅広く手を伸ばし、ジャンルの垣根なく楽しむ雑食系エンタメファン。毎月4本は映画館で鑑賞するほどの映画好きで、特にポケモンとワンピースへの愛は筋金入り。大人になっても心がワクワクする――そんなエンタメ作品を皆さんにお届けします。