5分でわかるキングダム|第2章:蛇甘平原の戦い編(6〜7巻)
王都奪還の激闘を終えた信は、夢だった「戦場」についに足を踏み入れる。
彼の身分は百人将――といっても、寄せ集めの無名兵をまとめた半ば“捨て駒部隊”。
舞台は秦と魏の国境、蛇甘平原。ここで信は、初めて「本物の戦争」に直面する。
指揮をとるのは、あの麃公(ひょうこう)将軍。寡黙で武骨、何を考えているのか読めないその姿に、信は戸惑いながらも惹かれていく。戦場で命が軽く飛び交うなか、信たちの隊はまさに前線の先頭。兵士たちの命を預かり、仲間の死と向き合いながら、信は必死に戦い続ける。
敵は魏の名将・呉慶(ごけい)。理詰めで進軍し、こちらの動きを見抜いてくる冷静な軍略家。彼の読みと対応の早さに、信は自分の無力さを思い知らされる。
それでも信は前に出る。誰もついてこなかった「たった一人の百人将」が、仲間とともに泥の中を這いずって、敵の中央を打ち破る。指示がなくても動く、命を捨てて仲間を守る、誰よりも先に敵陣に飛び込む――その姿に、兵士たちの目が変わり始める。
信の百人隊は、生き残り、勝ち残った。
地位も実績もない若者が、戦場で初めて「結果」を出した瞬間だった。
戦の終わり、麃公将軍は信に言葉をかける。
「戦場には、こういう“火種”が必要なのだ」と。
信の“初陣”は、ただの通過点ではない。
ここで彼は、仲間とともに戦うことの意味、戦場で生き残ることの苦しさ、そして「信」という存在が他の兵士たちにとって何になれるのか――その原点を掴みかけた。
戦のスケールは小さくても、信の中での意味はとてつもなく大きい。
この蛇甘平原が、やがて将軍へと至る道の最初の一歩だった。