5分でわかるキングダム|第3章:政の過去と暗殺編(8〜10巻)
王都奪還、蛇甘平原での初陣を経て、信の名はほんの少しずつ広まり始めていた。
そんな中、秦国の中枢では、政を引きずり下ろそうとする“内なる敵”が静かに動き出していた。
呂不韋(りょふい)。
かつて商人だった男は、権力を金で買い、今では政の母・太后と手を組み、国を影から牛耳ろうとしていた。
彼の刺客は、信の命も狙う。夜の屋敷を襲う暗殺者たち――信はその一人と激しく刃を交えるが、ただの戦場とは違う「政治の闇」に、足を踏み入れたことを嫌でも思い知らされる。
そのころ、政は自らの過去を語り始める。
彼は趙で生まれ、囚われの身として“人間扱いされない幼少期”を送った。
命の危険すらあった地獄のような日々。政が語るその記憶は、凄惨で、静かで、そして強かった。
「それでも私は、生きて戻った」
その言葉に、信は息をのむ。目の前にいるのはただの王ではなく、
“この世の地獄を見た上で、それでも世界を変えようとしている人間”だった。
そして、信は思う。
自分が夢見る「大将軍」という存在は、この王の志を実現するためにこそあるべきだと。
この章では、政という人物の深さが一気に掘り下げられる。
同時に、秦という国の中に広がる腐敗と闇、その中で政が孤独に戦ってきた時間が浮き彫りになる。
信もまた、“戦場”だけではなく、“政治と権力”の重さに直面していく。
少年たちの物語は、すでに王国の中枢へと入り込んでいた。