5分でわかるキングダム|第5章:山陽攻略戦編(17〜24巻)
趙との同盟が成立し、背後の不安を取り除いた秦は、魏の重要拠点・山陽へと侵攻する。
総大将は蒙驁(もうごう)。その配下として、信、王賁、蒙恬という若き三人の将がそろい踏みする。
信はこの戦で三百人将となり、初めて“将としての指揮”を任される立場に立つ。
迎え撃つ魏軍を率いるのは、かつて趙の三大天として名を馳せた廉頗(れんぱ)。
すでに老将の域にあるが、その胆力も統率力も未だ健在。
そして彼のもとには、輪虎(りんこ)をはじめとする四天王が控えていた。
戦は開幕とともに苛烈を極める。
輪虎は巧みな夜襲と斬り込みで秦軍の将を次々と討ち取り、戦場の空気を奪っていく。
信もその脅威にさらされ、命を落としかけるが、仲間の助けを受けて辛くも生還。
この戦いで信は、“ただ前に出る”だけでは通用しない現実と向き合うことになる。
一方、戦局を動かす鍵を握っていたのが、総大将・蒙驁の慎重かつ大胆な布陣だった。
奇策ではなく、地道に築き上げた守りと進軍――老将の静かな戦術が、若き猛者たちを支え、全体を勝利へと導いていく。
やがて信は輪虎との一騎打ちに挑み、自らの腕と意志でこれを討ち果たす。
激闘の末に掴んだその勝利は、信にとって初めての“本物の武功”だった。
戦の終わり、廉頗は信に静かに言葉を残す。
「ほんの少し、あの王騎に似てきたな」
信はその一言を胸に刻み、戦場をあとにする。
山陽戦は、飛信隊にとっても転機となった。
主戦力であった羌瘣が離脱し、隊は一時的に瓦解の危機を迎える。
そこへ登場するのが河了貂。軍師として飛信隊に加わることを決意し、新たな体制づくりが静かに始まっていく。
この戦いは、信にとって“将軍としての土台”を築く戦だった。
力のぶつかり合いだけでなく、戦術、指揮、信念――
様々な視点から「戦いの意味」を問い直される章であり、同時に、秦の中核を担う若き世代が動き出す合図でもあった。