第7作:ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023)

IMFに、新たな脅威が立ちはだかる。今回は国家や組織ではなく、制御不能な人工知能「エンティティ」。世界中のネットワークに潜伏し、情報を操るその存在は、国家間の力関係さえ変えてしまう可能性を秘めていた。イーサン・ハントは、このAIの全権限を握る「鍵」を回収するための任務を受ける。

しかし、このキーを狙うのはIMFだけではない。各国の諜報機関、武器商人、そしてイーサンの過去と因縁を持つ人物ガブリエルまでもが暗躍。彼はエンティティと手を組み、イーサンの心理を揺さぶりながら先手を打ってくる。

物語は空港、ヴェネツィア、そして高速列車を舞台に展開。新たな仲間として機転の利く女泥棒グレースが登場し、最初は互いを信用できない関係ながら、次第にイーサンの覚悟に触れて協力していく。ヴェネツィアでの夜のアクションや、屋根を駆け抜けるカーチェイスなど、息をのむ展開が続く。

クライマックスは走行中のアルプス行き列車。激闘の末、イーサンはキーの片割れを手に入れるが、エンティティの正体や全貌は依然として不明。仲間イルサとの別れという痛みを抱えながらも、彼は残る半分のキーを求めて新たな任務へ向かう。



今回の最大の見どころは、やはり崖からバイクで飛び降りる圧巻のノースタントアクション。エンジン音が途切れ、風の音すら消える“無音”の演出が緊張感を極限まで高め、失敗すれば即大惨事という危険度に、思わず息を呑みました。そして物語の裏では、次作にも続く因縁の相手ガブリエルの影と、苦楽を共にしたイルサとの束の間の幸せなひととき――その結末に胸が締め付けられます。