第二部:戦争編
王都での冒険を経て、レイの旅は新たな局面へ。
舞台は一気に国家間の対立へと広がり、マスターとティアンの力が歴史を動かす大規模な戦争が幕を開けます。
仲間との絆、〈超級〉同士の激突、そして国家の存亡を賭けた決断――。
ここから物語は、個人の冒険譚から群像劇へと進化していきます。
第四章:第三の力
大学の入学式が迫る現実時間の合間、レイはギデオン近郊で動いていた……はずが、突如として王国トップクラン〈月世の会〉本拠に拉致される。
〈アルター王国三巨頭〉の最後の一人、“月世の界”【女教皇】扶桑月夜が、レイという「プレイスタイルの軸を持つ新参」に興味を示し、半ば強引に勧誘を仕掛けてきたのだ。
ここで“守るために戦う”という彼の軸は試される。
レイは相棒ネメシスと腹を割って方針を確認し、勧誘を回避する機転を見せる。
そこへ“無限連鎖”【超闘士】フィガロが乱入、場は流れ解散へ。
騒動後、レイは大学の先輩と組んでクエストを受けようとするが、ティアンの少年が駆け込んでくる。
「〈マスター〉である義父の行方を捜してほしい」。
ゲーム的には“不可能に近い依頼”だが、レイは断らない。
かつての“初めてのクエスト”と同じく、目の前の涙に応えるのが彼の流儀だ。
足取りの薄い失踪事件、国家最上位クランの思惑、そして三巨頭の影――小さな捜索依頼の背後で、王国の巨大な水脈がうねり始めていた。
第五章:遺された希望
はるか昔、“化身”の侵攻で前文明は滅びた――彼らが次代へ託した希望は、長い時間を経て望まぬ方向へ動き出している。
そんな折、アルター王国とドライフ皇国の国境に位置するカルチェラタン伯爵領で、新たな〈遺跡〉が発見され、各陣営の思惑が錯綜。
王国・皇国・クラン・個々のマスター、それぞれの「正義」と「打算」が交差する。
レイは導かれるように遺跡へ向かい、遺された仕掛けの“解釈違い”が戦争の導火線になり得ることを知る。
希望を繋ぐ遺産は、読み解き方ひとつで“脅威”にも“救い”にもなる。
守るための最適解は何か。
遺跡の奥で見たものは、文明の残影と、現在進行形の政治力学だった。
過去が静かに現在へと滲み、王女アルティミアや皇国側のキーパーソンの動きが、やがてこの地を対話か激突かの分岐点へ導いていく。
レイは“帰還させるべき命”を優先しながら、遺跡争奪の危うい均衡の中で最少犠牲の道を模索し始める。
第六章A:アイのカタチ
“監獄”の〈超級〉、【狂王】ハンニャが出所。
彼女が真っ直ぐ決闘都市ギデオンへ向かう一方で、レイはアルター王国第一王女アルティミアから護衛任務を拝命する。
目的は近く行われる決闘ランキング二位【猫神】トム・キャット vs 同三位で王国最強PK【抜刀神】カシミヤの試合観戦を安全にこなすこと。
だが“見物”で済むはずがないのがギデオンだ。
王都・皇都・中立、様々な視線が交差する舞台で、レイは「目立ちすぎない護衛」の難度を知る。
王女の側近ルート、情報屋ルート、そして兄シュウの独自ルートが絡みあい、表の決闘と裏の駆け引きが同時進行。
レイはネメシスと相談し、護衛の本質を“勝ち負け”ではなく撤収条件の確保と定義し直す。
そこへ、出所直後のハンニャという“爆弾”が街へ到着。約三年(現実換算で約一年)ぶりの誤解を抱えた再会の予兆が、ギデオンの空気をピリピリと帯電させていった。
ここから王女護衛の政治戦は、次章の“最強との対峙”へ雪崩れ込む。
第六章B:私(アイ)のカタチ
講和会議が近づく。
レイとネメシスは新ジョブ/新形態を獲得し、王女アルティミアの護衛体制を増強。
しかし、同行予定の王国ランカーが相次いで殺害される異常事態が発生し、皇国の多重罠と黒幕の影が濃くなる。
ついに現れるのは、ドライフ皇国最強の〈超級〉、“物理最強”【獣王】ベヘモット。
圧倒的な純粋火力の権化に、レイは“勝つ”ではなく“守り抜く”ための戦い方で挑むことを選ぶ。
ネメシスは制限時間とリソース配分を冷徹に管理、レイは撤退の条件を常時確保しながら一瞬の付け入る隙を探る。
合間、皇女クラウディアがアルティミアへ囁く“世界のための策”は、国家間の対立を超えたハイエンドの視座を示す。
合図は一言――『Start』。
最強へ届くのか、届かないのか。
ここで積み上げてきた“守るための最適”という思想が、国運級の局面で初めて現実に試される。
Episode Ⅵ-Ⅶ King of Crime(①)
【破壊王】と【犯罪王】、二人の<超級>の戦いの追憶へ。
大学生活が一ヶ月ほど過ぎ、レイはGWを前に装備更新やクラン拠点購入、そして“トーナメント”の準備に追われる。
そんな中、兄シュウは“来るべき戦争”の気配を嗅ぎ取り、過去の戦争時に宿敵ゼクスと交わした死闘を思い出す。
表の世界ではトーナメントに向けて名だたる猛者が牙を研ぎ、裏の世界では犯罪王の影が濃くなる。
過去は回想でありながら、次に起きることの予告編でもあった。
レイの現在進行の支度と、シュウの過去回想が二重らせんのように絡み、戦争編の核心へ観客の視線を導いていく。
Episode Ⅵ-Ⅶ King of Crime(②)
見せ場は二つに割れる。
表ではアルター王国トーナメント開幕、レイは2回戦で〈超級〉“酒池肉林”レイレイと激突し、格の違いと勝ち筋の作り方を学ぶ。
裏では静寂が支配する“監獄”で準備が完了。【犯罪王】ゼクス・ヴュルフェル、【疫病王】キャンディ・カーネイジ、ガーベラの三〈超級〉が、管理AI6号(レドキング)の管理する難攻不落の監獄からの脱獄作戦を開始する。
表の栄光と裏の暗闘が同時進行で進み、双方が互いの“天井”を示す構造だ。
レイの試合結果は彼の現在地を示し、脱獄は世界の安定を根元から揺らす。
ここで繋がった二つの線は、次章以降の大規模戦と邪神攻略の盤面を完成させていく。
Episode Fragment
“トーナメント”本戦の熱狂は続く。
UBM(Unique Boss Monster)挑戦権を賭け、レイレイ、Barbaroi・Bad・Burn、ルーク、ジュリエット、月夜、カシミヤら錚々たる面々が名乗りを上げる。
そして最終日の舞台に、カルディナから移籍した〈超級〉“七死変貌”【殲滅王】アルベルト・シュバルツカイザーが登場――フィガロは勝ち切り、神話級UBMへの挑戦権を掴めるのか。
表の決闘が進むほど、裏の情勢も加速する。
祭りの熱は、やがて戦争の熱へと直結していくのだった。
第七章:女神は天に在らず
ついに“〈トライ・フラッグス〉”開幕。
戦争のルールが第一王女アルティミアから王国ランカーへ通達され、5月7日(GMT)午前0時、三本の旗を巡ってアルター王国とドライフ皇国の〈マスター〉が破壊競争を開始する。
単純な殴り合いではない――情報、連携、撤退線、全てがスコアに響く設計だ。
レイは“守る最適”をチーム戦術に翻訳し、最少犠牲で最大効果を狙う。
いっぽうで、“ハイエンド”として世界のために戦うクラウディアは、【邪神】攻略の一手を秘かに打ち始めていた。
個と国家、そして世界。
三つのスケールが同じ盤上で噛み合い、戦争は勝敗だけでなく未来の条件をも決め始める。
旗が一本、また一本と落ちるたび、歓声と悲鳴が重なり、王国の勝機と皇国の策がせめぎ合った。
結末は次部へ持ち越されるが、ここでレイは“守りたいもの”の輪郭を、かつてなくはっきりと掴む。