なろう小説レビューvol.7「平和の守護者」

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時は2010年。

第二次世界大戦末期に現れた『ES能力者』により、“本来”の歴史から大きく道を外れた世界。“本来”の世界から、異なる世界に変わってしまった世界。

人でありながら、人ならざる者とも呼ばれる『ES能力者』は、徐々にその数を増やしつつあった。世界各国で『ES能力者』の発掘、育成、保有が行われ、軍事バランスを大きく変動させていく。

そんな中、『空を飛びたい』と願う以外は普通の、一人の少年がいた。

だが、中学校生活も終わりに差し掛かった頃、国民の義務である『ES適性検査』を受けたことで“普通”の道から外れることとなる。

夢を追いかけ、様々な人々と出会い、時には笑い、時には争う。

これは、“本来”は普通の世界で普通の人生を歩むはずだった少年――河原崎博孝の、普通ではなくなってしまった世界での道を歩む物語。

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『平和の守護者』

──少年たちは飛ぶ。誰かを守るために。何度でも、立ち上がる。

池崎数也さんによる本作『平和の守護者』は、書籍化に際してタイトルを『創世のエブリオットシード』へと変更しています。

タイトルの変更理由は明かされていませんが、どちらのタイトルも作品を読めば納得がいくはず。物語に込められたメッセージは、タイトルそのものに深く結びついています。

ジャンルとしては学園ものですが、ただの学園ではありません。

舞台は、戦場に立つための訓練が行われる軍事学校

少年たちは“ES能力”という特殊能力を武器に、未来の平和を守るための訓練を重ねます。

それでは、胸を打つ成長と覚悟の物語『平和の守護者』の概要と、注目ポイントをご紹介していきましょう。


物語の概要

主人公は15歳の少年、河原崎博孝(かわらさき ひろたか)

“ES能力”と呼ばれる特殊な力を持つ人類が現れて以来、世界は一変。

空を飛ぶことも、超常の力を操ることも当たり前になったこの世界で、博孝もまた、自らの能力を磨くべくES能力者の訓練校へと入学する。

厳しい訓練、過酷な実戦、そして仲間とのぶつかり合い――

訓練生としての博孝の日々は、決して甘くはない。だが、彼は何度でも立ち上がる。

「誰かのために、自分の力を使いたい」

そんな真っ直ぐな想いが、やがて彼を“平和の守護者”へと導いていく。


注目ポイント①:主人公・河原崎博孝の真価

本作の主人公・博孝は、まさに「正統派主人公」

状況を的確に判断し、時には空気を読んで和ませる柔らかさも持ち合わせている。

ただの天才型でもなければ、運に頼るタイプでもない。

努力、信念、そして周囲への思いやりによって道を切り拓いていく姿に、強く心を打たれます。

少年の等身大の成長と覚悟が描かれるからこそ、彼の決意や行動に説得力がある。

「主人公がしっかりしている作品は面白い」という鉄則を、まさに体現したキャラクターです。


注目ポイント②:仲間たちとの絆と衝突

博孝と共に訓練を受ける仲間たちは、皆それぞれに得意分野と弱点を持つ個性派揃い

単なる“能力バトル”に終始せず、性格や背景の違いからぶつかり合ったり、助け合ったりと、リアルな人間関係の機微が丁寧に描かれています。

一人では届かない場所も、仲間がいれば進める。

時に涙し、時に拳を交わしながら築いていく信頼関係に、熱くならずにはいられません。


注目ポイント③:ES能力という現実的な超能力

本作の中核をなす設定であるES能力は、単なるファンタジーの魔法とは異なります。

ES能力とは、訓練次第で伸ばせる“身体拡張的な力”

筋力のように鍛え、技術として習得していくものであり、そこには個人差や限界も存在します。

努力か才能か――その問いに、明快な答えはありません。

しかし、博孝は自ら環境を切り拓き、どんな状況でもあきらめず前へ進みます。

彼の姿勢が、仲間に、そして読者に力を与えてくれるのです。


注目ポイント④:戦争と、少年たちの決意

物語が進むにつれ、世界には不穏な動きが表れ始めます。

軍事学校である以上、訓練生たちもやがて“戦場”に向かう存在となっていく。

本作の魅力は、そこで描かれる少年たちの葛藤や覚悟にあります。

理想や夢だけではどうにもならない現実。

それでも彼らは、誰かを守るため、恐怖を抱えたままでも前を向く。

戦うためではなく、守るために剣を持つ少年たちの姿に、きっと心を揺さぶられるはずです。


注目ポイント⑤:かっこよすぎる教官の存在

そして――忘れてはいけないのが、物語の中で圧倒的な存在感を放つ教官の存在。

彼は、強く、厳しく、しかし誰よりも生徒たちを想う“本物の大人”。

過去の戦場を知り、今の平和を守るためにあえて厳しく接するその姿は、まさに理想の師です。

博孝たちは、その背中に憧れ、敬意を抱き、やがて越えていこうとします。

教官と生徒の師弟関係そのものが、本作の柱であり、心を動かす最大の要素といっても過言ではありません。

どうか、教官の姿を、最後まで見届けてください。


おわりに

いかがでしたか?

『平和の守護者(創世のエブリオットシード)』は、少年たちの成長と葛藤、そして希望を描いた超本格ミリタリー学園ファンタジーです。

友情・信頼・戦争・決意――すべてが詰まった物語に、心が震えます。

しかもこのレベルの作品が、Webで無料で読めてしまうという奇跡。

小手先の転生やチートでは味わえない、“まっすぐな熱さ”と“誠実な強さ”がここにあります。

どうか一人でも多くの方に、この物語の素晴らしさが届きますように。

そして、彼らの“飛翔”を、あなたの目で見届けてください。

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この記事を書いた人

「小説家になろう」歴10年、これまでに読破した作品は200タイトル以上。少年漫画から青年漫画、ラブコメ、ギャグまで幅広く手を伸ばし、ジャンルの垣根なく楽しむ雑食系エンタメファン。毎月4本は映画館で鑑賞するほどの映画好きで、特にポケモンとワンピースへの愛は筋金入り。大人になっても心がワクワクする――そんなエンタメ作品を皆さんにお届けします。