はじめに
インターネット回線を家に引き込む方法ってほとんどの方が知らないと思います。
スマホの回線契約よりも馴染みがないし、切り替えるタイミングも少ないですしね。
インターネット、ひいてはWi-Fiを使い始めるためには
- 物理的な回線として「光回線」の利用契約
- 通信サービスを提供する「ISP」との契約
の両方が必要なんです。
この記事では家でネットが使えるようになる仕組みをざっくり解説します!
光回線とは
光回線とはインターネットに接続するための物理的なケーブルのことです。
石英ガラスやプラスチックで作られた透明な細い線で、内側を光が反射しながら進んでいきます。
通信の仕組みは、各種データ→ビット配列→電気信号→光信号という順に変換されて伝えられます。
無線の場合は、近くの基地局までは光で届いて、そこから電波→電気信号→ビット→各種データ、という順で伝わってきます。
昔の偉い方は、
「光は伝わる速度が最も速いから、通信に使わない手はない!」
と考えたんですね。
NTT東日本/西日本は、全国的に敷設・管理を行なっている光回線をフレッツ光という製品として提供しています。
つまり、フレッツ光は光回線そのものを指し、インターネットを利用するためのサービスとは別物ということになります。
ISPとは
Internet Service Provider の略で、インターネットをサービスとして提供する事業者のことです。
インターネット回線を利用するにはこのISPと契約を行う必要があります。
NTTのフレット光などの光回線の利用はISPが代行して行なってくれるため、ISPとの契約だけでインターネットを使うことができるようになっています。
ISPは大きく次の3つのタイプに分かれます。
- 光コラボ
- 電気事業者系
- 独立系
順番に解説してきます。
光コラボ
NTTが提供する光回線フレッツ光を利用して、インターネットサービスを提供しているタイプの総称です。
フレッツ光とのコラボということですね。
光コラボは2015年に始まりました。
光コラボ事業者は物理的な光回線を自社で敷設・管理しないため、設備投資や管理費用が不要となり、事業への参入障壁が下がります。
スマホでいう大手キャリアと格安SIMの関係性とよく似ています。
NTTは光回線の利用料をISPから徴収することで、直接的なユーザーへのサービス提供は光コラボ事業者に任せて、利益を得る仕組みとなっています。
※NTTもISP事業はやっていますが。
この仕組みで多様な企業が参入し、光コラボ製品として独自のWi-Fiプランを提供しています。
光コラボの特徴としては、
- 全国的に設置されたNTT光回線を使用するため、ほとんどの地域で利用可能
- 多様な企業が様々なプランを用意しているため、お得に利用できる可能性がある
- スマホとセットにしたら割引、とか動画配信サービスとセットにしたらお得、など
- 参入しやすい分、撤退もしやすく、業績不振が続くとサービス終了となる可能性がある
電気事業者系
東京電力や関西電力などの電気事業者が電線網のついでに光回線を敷いてしまうパターンです。
テレビ放送に使われる同軸ケーブルと呼ばれる回線を利用している場合は、光回線に比べると速度があまり出ない点に注意が必要です。
電気事業者系の特徴としては、
- 電気やガス料金とセットにするとお得になりやすい
- 家庭内のインフラを1つにまとめることができる
- 契約窓口も1つにできる
- 地域に根ざした電力会社によるサービスとなるため、利用可能なエリアが限られる
独立系
最後は独自で光回線を持つタイプです。
独自と言っても0から光回線網を構築するのではなく、ダークファイバーと呼ばれるNTTが敷設して使われていないケーブルを利用していることがポイントです。
光回線の設置は大変なので、故障や通信量の増加に対応できるようあらかじめ多めに設置されます。
2010年に総務省の通達で
「余っている回線網は他の通信事業者に貸し出して、一般家庭でも使えるようにしてね〜」
となりました。
ケーブル自体は元から存在しているものを利用し、インターネット回線として使えるようにシステムを構築する作業はISPが行なっているため、他社とは異なる独自の技術を採用することができます。
代表的なのはauひかりとNuro光の2つです。
auひかりはその名の通り、au(KDDI)が提供するプランで、一部の地域ではKDDIが設置した光回線を利用しています。
専用線となるため何より高速です。
Nuro光はもはや家電メーカーとは言えないくらい多岐のジャンルにわたって事業展開をしているSONYのプランで、NTTのダークファイバーを利用しています。
独自の技術でシステム構築を行なっており、業界屈指の高速化が実現されています。
独立系の特徴としては、
- 専用線を利用するため、とにかく高速
- 事業撤退リスクが低く、安定したサービス継続が見込める
- 対応エリアが限られるため、地方では利用できない可能性がある
- 都市部ではほぼ利用可能
ちなみに
Wi-Fi契約を検討する際に必ず現れるキャッシュバックについて
キャッシュバックをなぜ行うのか。
「契約さえ獲得できれば初期投資分くらいなんぼでも回収できるから!」
ややこしいことは抜きで、これに尽きるかと思います。
Wi-Fiの新規契約にせよ切り替えにせよ、戸建やマンションではそうそう発生するイベントではありません。
引っ越す場合にもまず元々使っていた事業者で検討を行うことになるかと思います。
人間は知らないものより、知っているものを選ぶ傾向があります。
つまり1度契約を取れれば、ほとんどの場合は数十年間ユーザーになってもらえるということです。
結論
- 光回線とインターネットサービス提供者は別物!
- 光回線は物理的な線でNTTのフレッツ光が有名
- インターネットサービスを提供しているのはISPと呼ばれる会社で、別途契約が必要
- ISPには光コラボ・電気事業者系・独立系の3種類のタイプがある
- 光コラボ:多様な事業者、多様なプラン、NTT光回線を利用
- 電気事業者系:電力会社が提供、光熱費とセットでお得、インフラ支出をまとめることができる
- 独立系:専用光回線を持つ、高速、技術勝負